http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/130417/wlf13041719140027-n1.htm
2013.4.17 19:05
99歳の社会人聴講生として桃山学院大学(大阪府和泉市)に通学してきた村川信勝さん=大阪市東成区=が、4月からの新学期も2科目選択し、7年目の聴講生として通学を続けることになった。今年中に100歳という節目を迎えるが、「頑張らなしゃあない」と学習意欲はさらに旺盛だ。
肺炎で入院、リハビリで4月に間に合わせた
「ここ(大学)に来ると思ったら、前の日から気持ちがしゃんとしている」。1月、大阪総合面の「まちかど人間録」で紹介したとき以来、約3カ月ぶりに再会した村川さんは、勉強道具の入ったリュックを背負った若々しいかっこう。つえをついているものの、しっかりした足取りだ。
今学期に選択したのは「国際政治事情研究」と「東南アジア近現代史」の2科目。兵士として太平洋戦争を経験しており、外交や国際関係は最も関心のある分野だという。
実は、1月中旬から2月末にかけて肺炎で入院した。「家で3べんも血を吐いて、ふうっと気が遠くなった。もう寿命か」と覚悟したとも。
「100歳という壁は高いなあと。でも、不思議とショックやなかった」
すぐに入院。10日間は絶対安静だったが、徐々に回復し40日で退院した。
入院中も気になったのは大学のこと。「4月までに元気になって通学したい」とリハビリも頑張った。
大学に通うには、自宅から自転車で最寄りの駅まで行き、地下鉄や南海電鉄などを乗り継ぎ、さらにバスに乗る必要がある。階段の上り下りなども多く、片道約2時間の道のりは、99歳の村川さんにとっては大変な運動だ。
それでも、大学に行きたいという熱意が体を動かす。「今ここに来ているというのは、それぐらいの体力はあるというこっちゃ」と村川さん。
99歳が学生の手本に。聴講申し込む高齢者も
しゃんと背筋を伸ばし、じっと講義に耳を傾ける姿は、周りの若い学生の手本だ。一方、村川さんも、大学で若い学生と一緒にいると元気になれるという。「食堂へ行って食べてたかて、みんながわいわい言うてるのを見てたら楽しい」
99歳の村川さんにとって勉強とは、物事を考えるために必要なものだ。
「新聞を読んでるときも、勉強しとったら『こんなこと言うてるけど、この裏はどうやろ』と、いろんなことを考えることができる。(考えることが)自分の価値になる」
多くのマスコミに取り上げられた村川さんに刺激を受け、同大学に社会人聴講生としての受講を申し込んできた高齢の人もいるという。「励みになるって言われるのは、気恥ずかしいけど、うれしいこっちゃな」
12月に100歳になる。「みなが『もうすぐ100や、頑張れ』いうもんやから…。頑張らなしゃあない」。力みのない笑顔で語った。(中井美樹)